ピックルボールの人気が広がるアメリカ。
「コートが足りない」「施設が増えてる」など色々な話を聞くけれど、
実際どれくらい広がっているのか?
その“本当の姿”を空から確かめたのが、今回紹介する ニューヨーク・タイムズ の特集です。
10万枚もの空撮写真を分析して見えてきたのは、
想像していた以上にダイナミックな“コートの変化”でした。
空撮10万枚で見えた、「ピックルボール化」の広がり
まず驚くのは、このスケール。
ニューヨーク・タイムズの記者の記者 イーサン・シンガー氏は、
約10万枚もの空撮写真を使ってアメリカ中のコートを調べました。
そして分かったのが、この3つの数字。
- 過去7年で作られた屋外ピックルボールコート:2万6,000面以上
- うち“多く”が、元はテニスコート
- 実際にピックルボール用へ転用されたテニスコート:8,000面以上
「そんなに?」と思わず声が出るほどの規模です。
もちろん、アメリカ中すべてのコートを調べたわけではありません。
それでも“傾向としてはっきり見える”ほどの変化だと伝えています。
サンタモニカの実例:テニスから転換し、売上が“7倍”
記事の中で特に印象的なのが、
カリフォルニア州サンタモニカの「サンタモニカ・ピックルボールセンター」。
ここのオーナー・ジョン・ニータ―氏は、
もともとテニスを中心にビジネスをしていた人。
それが数年前にピックルボールへ舵を切り、
結果…… 売上は約7倍に。
なぜそんな変化が?
理由はとてもシンプルで、
- テニスコート1面 → ピックルボール最大 4面
- 同時に複数のレッスン・イベントが開催できる
- 年齢・レベルを問わず人が入りやすい
という“受け入れ幅の広さ”。
施設の中では、
- 子ども向けのクラス
- 上級者向けの練習
- 初心者レッスン
等が同時に並ぶ、活気ある風景が生まれているそうです。


空撮で分かった「テニスコートの使われ方」
ニューヨーク・タイムズ が写真を分析したところ、
テニスコートからピックルボールを作る方法にはいくつもパターンが見つかりました。
代表的なのは、
◎ テニスコートにピックルボール1面を重ねて使う
ネットを共有できるため、もっとも一般的。
そして、
「ピックルボールって小さいから…?」と気付く人も多いですが実際その通りで、
- ピックルボールのコートは、幅約6.1m・長さ約13.4mと非常にコンパクト
- テニスコート(約23.8m × 10.9m)のおよそ3分の1ほどの大きさ
そのため、
◎ テニスコート1面に2~4面を配置する例も多数
空撮写真の分析では、テニスコート1面の中に
2〜4面のピックルボールコートが描かれている例が多く確認されています。
◎ テニスコートをピックルボールコートとして使う方法(英語です💦)
テニス側の声も紹介:関係性は「ここ1年で落ち着いている」
この記事が良いのは、
ピックルボール側だけでなく
テニス側の視点もきちんと紹介しているところ。
アメリカテニス協会 の テッド・ローアキー氏 氏は、こう語っています。
- 「ここ1年で、テニスとピックルボールの関係は落ち着いてきた」
- 理由のひとつは、専用ピックルボールコートが増えたこと
実際、ニューヨーク・タイムズ のデータでも、
- テニスコートに新しく線を引くケースは昨年はじめて減少
- 代わりに、ピックルボール専用コートは増加
という動きが見えているそうです。
「テニス vs ピックルボール」ではなく、
“住み分けが進んできた” というニュアンスです。
ビジネス転換を後悔する可能性は?ニータ―氏の答え
サンタモニカのニータ―氏には、
ニューヨーク・タイムズがこんな質問をしています。
「ビジネスをテニスからピックルボールへ転換したことを、あとで後悔する可能性はありますか?」
これに対し、ニータ―氏の答えはとても明快でした。
「0%。一時的な流行で終わるとは、まったく思っていません。」
その理由について、ニータ―氏はこう話しています。
- ピックルボールが“友人関係の中心”になっている
- コミュニティのつながりをつくる場になっている
- 日常の楽しみとして、生活に深く入り込んでいる
つまり、ピックルボールは多くの人にとって
単なる流行ではなく、生活の一部になっているという実感がある、ということです。
(※これはあくまでニータ―氏自身の感想であり、記事が未来予測をしているわけではありません。)。)
一方で、テニスも伸びている
記事が繰り返し強調しているのは、
「テニスが衰退している」という話ではない
ということ。
アメリカテニス協会 の調査では、
- テニス参加人口もコロナ禍以降“増加”
- ただし、ピックルボールほど急激ではない
というデータが紹介されています。
さらに、テニス界では新しい試みとして
「レッドボール・テニス」 が進行中。
これは、
- ラケットは短め
- ボールは遅め
- コートは小さめ
- ダブルス向けで気軽にできる
という、“ピックルボールのような感覚で楽しめるテニス”。
大人が楽しむレッドボール・テニス(英語です💦)
今回の記事は、空撮データや施設オーナーの声を通じて、
アメリカでピックルボールがどのように広がっているのかを
とても具体的に感じられる内容でした。
テニスとピックルボールは競い合うのではなく、
それぞれが違った魅力を持ちながら成長していて、
そのバランスが取れはじめている様子もうかがえます。
日本でも今後、どのような形で広がっていくのか。
利用できるコートの増加や、コミュニティの変化など、
注目したいポイントはこれからもたくさんありそうです。
これからも丁寧に、最新の動きを追いかけていきたいと思います。
出典:
Pickleball.com
“New York Times Shares Aerial Photographs of Tennis Courts Converted Into Pickleball Courts”
