アメリカでは「ピックルボール経済」が始まっている
アメリカではここ数年、ピックルボールが“国民的スポーツ”として急拡大しています。
人気の背景には、健康・コミュニティ・レジャーといった要素だけでなく、
地域経済への影響という、もうひとつの側面があります。
大会の開催地ではホテルが満室になり、飲食店が活気づき、
“スポーツツーリズム”として街全体を動かしているのです。
アリゾナ州メサ:わずか1大会で約5億円の経済効果
2024年11月、アリゾナ州メサで開催された
「Biofreeze USA Pickleball National Championships(全米ピックルボール選手権)」。
この大会は、わずか9日間の開催にもかかわらず、
地域にもたらした経済効果は約360万ドル(約5億円)に達しました。
期間中には、全米47州と13カ国から約2,600人の選手が参加。
観客はおよそ1万人にのぼり、
宿泊施設、飲食業、交通機関など地域経済全体に大きな波及効果をもたらしました。
SNS・メディア露出は14億5,000万インプレッション超
大会関連のキャンペーンや報道を通じて、
国内外のメディア・SNS・広告を合わせた総インプレッション数は14億5,000万回を突破。
(自社・有料・オーンド・共有メディアすべてを含む)
TV放送、ストリーミング配信、SNSでの拡散など、
ピックルボールが持つ「観るスポーツ」としての魅力も、急速に広がっています。
アラバマ州オペライカ:地方都市でも2億円超のインパクト
人口約3万人の小都市・アラバマ州オペライカでも、
ピックルボールが“まちおこし”の起爆剤となっています。
地元の総合施設「Opelika Sportsplex(オペライカ・スポーツプレックス)」では、
2022年に開催された4つのピックルボール大会によって、
年間で約170万ドル(約2億6,000万円)の経済効果がもたらされました。
なかでも、同年9月の「Paddles on the Plex」大会では、
延べ800泊以上の宿泊需要と約30万ドル(約4,500万円)の地域経済効果を記録。
来訪者の増加により、ホテル、飲食店、ショップなどがにぎわいを見せました。
「これほど多くの人々が市外から訪れ、泊まり、食べ、買い物をしてくれる。
オペライカにとって大きな恩恵です」
— オペライカ市公園・レクリエーション部 サム・ベイリー氏
📚出典:WTVMローカルニュース
小さな投資で大きなリターン
ピックルボールコートは、ダブルス用バドミントンコートほどのスペースで設置可能。
改修コストも低く、空き地や体育館を活用しやすいのが特長です。
アメリカの自治体が次々とピックルボール施設を整備するのは、
こうした “費用対効果の高さ” が理由のひとつ。
コートをつくれば大会を誘致でき、観光や飲食、宿泊など
地域全体にお金が循環する仕組みをつくれるのです。
終わりに
ピックルボールは、単なるスポーツの枠を超え、
“地域経済を動かす新しいエンジン” になりつつあります。
大会の盛り上がりは、数字以上に人を動かし、街に活気を生み出す。
そんな未来が、すでにアメリカでは始まっています。
