はじめに|ピックルボールも「AIに聞く」時代へ
ピックルボール用品を選ぶとき、以前ならスポーツショップやレビューサイト、SNSの口コミを見て探す人が多かったかもしれません。
しかし今は、ChatGPTやPerplexity、GoogleのAI回答などに「初心者におすすめのピックルボールパドルは?」「SelkirkとJOOLAはどちらがいい?」と聞く人も増えています。
そこで重要になるのが、AIの回答にどのブランドが出てくるかです。
アメリカのPR会社5Wは、ピックルボール関連ブランドがAI回答の中でどれくらい引用されているかを調べた「Pickleball AI Visibility Index 2026」を公開しました。
今回はその調査をもとに、AI検索時代に“選ばれやすいピックルボールブランド”について整理します。
5Wはアメリカ・ニューヨークに拠点を置くPR・コミュニケーション会社です。近年は、ChatGPT、Claude、Perplexity、Gemini、Google AI Overviewsなど、AI回答の中でブランドがどのように表示されるかを分析する「AI可視性調査」も行っています。
ピックルボール市場では、ブランドの見え方が変わっている
5Wのレポートでは、2025年の世界ピックルボール市場は19億ドル、2033年には44億ドルに達すると予測されています。
市場が広がる中で、パドル、施設、アパレルなど、ピックルボールに関わるブランドも増えています。
ただし、ピックルボールはテニスやゴルフのように、何十年もかけて定着したブランド記憶がまだ強くありません。
そのため、これから始める人にとっては、「昔から知っているブランド」よりも、AIや検索でよく出てくるブランドが最初の候補になりやすい状況があります。
5Wは、ピックルボールを「AI回答の中でブランドの印象が作られつつあるスポーツ」と見ています。
調査では、どんな質問をAIに投げたのか
5Wは、2026年第1四半期に、ChatGPT、Claude、Perplexity、Gemini、Google AI Overviewsに対して、65以上の消費者向け質問を行いました。
対象になった分野は、パドル、施設チェーン、アパレル・シューズ、プロツアー・統括団体、小売・テック・レーティングです。
質問例としては、以下のようなものがあります。
「初心者におすすめのピックルボールパドルは?」
「SelkirkとJOOLAはどちらがいい?」
「USA Pickleball承認パドル一覧は?」
「おすすめのピックルボールシューズは?」
「DUPRレーティングの取り方は?」
「PPA Tourを見る方法は?」
つまり、この調査は単なるブランド知名度ランキングではありません。
実際のプレーヤーがAIに聞きそうな質問に対して、どのブランドが回答内に出てくるのかを見たものです。
AI回答で引用されやすい上位15ブランド
5Wのレポートでは、65以上のピックルボール関連質問に対するAI回答をもとに、ブランドの推定引用シェアを出しています。
上位15ブランドは以下の通りです。
1位:Selkirk(10.0%)
2位:JOOLA(9.5%)
3位:Paddletek(6.0%)
4位:Engage(5.5%)
5位:Onix(5.0%)
6位:USA Pickleball(4.5%)
7位:PPA Tour(4.0%)
8位:The Picklr(4.0%)
9位:Major League Pickleball(3.5%)
10位:Gearbox(3.0%)
11位:Pickleball Central(3.0%)
12位:Chicken N Pickle(2.5%)
13位:CRBN(2.5%)
14位:DUPR(2.5%)
15位:Franklin(2.0%)
このランキングを見ると、上位にはパドルブランドだけでなく、統括団体、プロツアー、施設ブランド、レーティングシステムも入っています。
ピックルボールにおけるAI検索は、「どのパドルを買うか」だけでなく、「どこでプレーするか」「どう観戦するか」「自分の実力をどう測るか」まで広がっていることが分かります。
SelkirkとJOOLAが強い理由
5Wの調査で特に目立つのが、SelkirkとJOOLAの強さです。
この2ブランドは、AI引用シェアで合計19.5%を占めています。
Selkirkは、初心者向けから競技者向けまで幅広いラインナップを持ち、レビュー記事や製品別情報も多くあります。
JOOLAは、トップ選手Ben Johnsとの関係が強く、競技者向けの質問で名前が出やすいブランドです。
つまり、AIに選ばれるブランドは、単に有名なだけではありません。
製品情報、レビュー、プロ選手との関係、専門メディアでの露出などが積み重なって、AI回答に出やすくなっていると考えられます。
有名スポーツブランドでも、AIで上位に出るとは限らない
5Wの発表では、WilsonやBabolatのようなテニス・ラケットスポーツでよく知られるブランドが、AI引用ランキングの上位(トップ15)に入っていない点が取り上げられています。
これはかなり興味深いポイントです。
スポーツ用品店やAmazonで見かけるブランドでも、AI回答の中で必ず上位に出るとは限りません。
5Wは、AI回答で引用されやすい要素として、専門的な編集コンテンツ、製品スペックの分かりやすさ、プロ選手との関係、新しい情報への更新などを挙げています。
つまり、AI検索時代には「売り場に強いブランド」と「AI回答に出やすいブランド」が必ずしも一致しない可能性があります。
施設・レーティング・プロツアーもAI検索で見られている
5Wのランキングでは、The Picklr、USA Pickleball、PPA Tour、Major League Pickleball、DUPRなども上位に入っています。
The Picklrは、屋内ピックルボール施設のフランチャイズとして注目されています。5Wのレポートでは、2025年末までに80以上の店舗、400以上のフランチャイズライセンスがあると紹介されています。
日本でもPICKLRは、2026年9月に東京・豊洲で「PICKLR TOKYO TOYOSU」を開業予定と発表されており、施設ブランドの動きは海外だけの話ではなくなりつつあります。
USA Pickleballは、パドル承認やルールに関する質問で、AIが権威ある情報源として扱いやすい存在です。
DUPRは、プレーヤーのレーティングに関する質問で存在感を高めています。
この結果から分かるのは、AI検索で見られているのは「ブランド名」だけではないということです。
ピックルボールでは、施設、試合観戦、承認リスト、レーティングなど、プレーを続ける中で必要になる情報もAI回答の対象になっています。
AIに選ばれるブランドは、理由まで伝わるブランド
今回の調査から見えてくるのは、AI検索の時代には「有名だから出てくる」とは限らないということです。
AIは、ネット上にある情報をもとに回答を作ります。製品の特徴、レビュー、比較記事、選手との関係、施設情報などが分かりやすく整理されているブランドほど、AIの回答にも出やすくなります。
つまり、これから大事になるのは、ブランド名を広めることだけではありません。
「なぜ選ばれているのか」
「どんな人に向いているのか」
「他と何が違うのか」
こうした理由まで伝えられているかが、AI検索時代の見え方に影響していきます。
これは、日本のピックルボール市場にもつながる話です。
日本でも、施設情報、体験会、サークル、大会情報を発信する動きは広がりつつあります。次に大切になるのは、ただ情報を出すことではなく、初心者が比較しやすく、選びやすく、行動しやすい形で届けることです。
パドルなら、初心者向けなのか、競技者向けなのか。
施設なら、体験しやすい雰囲気なのか、定期的に通いやすい場所なのか。
体験会なら、ひとりでも参加しやすいのか。
そうした情報が具体的に伝わるほど、人にもAIにも見つけられやすくなります。
ピックルボールが広がっていく中で、ブランドや施設、メディアの価値は、単に「存在していること」だけでは決まりません。
選ぶ理由が分かること。
安心して一歩踏み出せること。
情報が今の状況に合っていること。
そうした積み重ねが、これからのピックルボール市場では大きな差になっていくのではないでしょうか。
参考URL
5W「The Pickleball AI Visibility Index 2026」
https://www.5wpr.com/ai-visibility-index/pickleball-ai-visibility-index-2026/
PRNewswire「Selkirk, JOOLA, and Paddletek Lead 5W’s First Pickleball AI Visibility Index」
https://www.prnewswire.com/news-releases/selkirk-joola-and-paddletek-lead-5ws-first-pickleball-ai-visibility-index–but-wilson-and-babolat-top-brands-by-retail-distribution-rank-outside-the-top-15-302776501.html
