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小さな穴あきボールが、ピックルボールの面白さを作っていた|海外研究で見る“飛び方”の不思議

はじめに|ピックルボールのボール、よく見ると不思議

ピックルボールを見たことがある人なら、まず気になるのがボールの形かもしれません。

テニスボールのようなフェルトの球ではなく、プラスチック製で、表面にはたくさんの穴があいています。

初めて見ると、「なぜ穴があいているの?」「これでちゃんと飛ぶの?」と思う人もいるのではないでしょうか。

実はこの穴あきボールこそ、ピックルボールらしい打感やスピード感を生み出す大事な要素です。

海外では、ピックルボールのボールがどのように飛ぶのかを調べた研究や技術解説も出ています。今回は、そうした情報をもとに、ピックルボールのボールの不思議をやさしく整理します。

公式規格では、穴の数や大きさにも決まりがある

ピックルボールのボールは、見た目はシンプルですが、公式競技で使うボールには細かい規格があります。

アメリカのピックルボール統括団体であるUSA Pickleballの用具基準では、ボールの直径は7.29〜7.54cm、重さは22.1〜26.5gと定められています。

穴の数は26〜40個です。穴は円形で、ボールの飛び方に合うように配置されていることも示されています。

つまり、ピックルボールのボールは、ただ穴があいているだけではありません。

サイズ、重さ、穴の数、穴の配置まで含めて、競技で使えるボールとして基準が設けられています。

屋内用と屋外用で、ボールの特徴が違う

ピックルボールのボールには、屋内で使われることが多いタイプと、屋外で使われることが多いタイプがあります。

USA Pickleballの公式ルールブックでは、大きな穴のボールは屋内、小さな穴のボールは屋外で使われるのが一般的だと説明されています。

屋内は風の影響を受けにくいため、大きめの穴でもプレーしやすいです。

一方、屋外では風の影響があります。そのため、小さな穴が多く配置されたボールが使われることがあります。

ただし、承認されたボールであれば、屋内でも屋外でも使用できます。つまり、「屋内用は必ずこれ」「屋外用は必ずこれ」と完全に決まっているわけではありません。

大切なのは、使う場所によってボールの選び方が変わるという点です。

穴あきボールは、なぜ少しクセのある飛び方をするのか

ピックルボールのボールは、ただ軽く飛ぶだけではありません。

穴のあいた構造によって空気の影響を受けるため、打ち出し方や回転によって軌道が変わります。

Tennis Warehouseが運営する技術解説ページでは、ピックルボールの飛び方について、高速度映像とシミュレーションを使った分析が紹介されています。

実験では、専用の装置でボールを打ち出し、2台の高速度カメラで軌道を撮影。86本の飛行軌道をもとに、空気抵抗や揚力が調べられました。

空気抵抗とは、ボールが前に進む力を弱める働きです。

揚力は、ボールの上下の動きに関わる力です。回転のかかり方によって、ボールが浮いたり、落ちたりする動きにつながります。

この技術解説では、似た条件で打ち出した場合でも、ボールの飛び方にばらつきが出ることが示されています。その理由の一つとして、穴のある構造によって空気の流れが乱れやすいことが挙げられています。

つまり、ピックルボールのボールは、毎回まったく同じように素直に飛ぶわけではありません。

だからこそ、ピックルボールでは、力強く打つだけでなく、角度、回転、力加減を調整することが大切になります。

屋外では、風の影響もプレーに関わる

屋外でピックルボールをすると、風によってボールの飛び方が変わることがあります。

arXivで公開されている論文「Pickleball Flight Dynamics」では、ピックルボールのボールの軌道や速度をモデル化し、追い風と向かい風の違いを分析しています。

論文では、向かい風、無風、追い風の条件で、ボールの軌道や速度を比較しています。

向かい風の場合、ボールの軌道はより大きく曲がり、高い弧を描くと説明されています。軽いピックルボールが、風に押し戻されるような動きになるためです。

一方、追い風の場合は、ボールが飛んでいる間の速度が比較的保たれると説明されています。

さらに論文では、ドライブショットを想定して、追い風と向かい風のどちらが有利かも検討しています。

その分析では、多くの条件で、向かい風で打つ方が相手に届くまでの時間が短くなり、相手の反応時間が少なくなるとされています。

つまり、風は単に「ボールが流される」というだけではありません。

風向きによって、軌道、速度、相手が反応できる時間まで変わることがあります。

屋外のピックルボールでは、風を読むこともプレーの一部になります。


ピックルボールのボールは、ただの軽いプラスチックボールではありません。

海外では、その飛び方を研究し、風や回転による変化まで分析されています。

そう聞くと、コートの上を飛ぶ小さな穴あきボールが、少し違って見えてきませんか。

何気なく打った一球にも、空気の流れや風の影響がある。
思いがけない軌道にも、ちゃんと理由がある。

次にピックルボールをするときは、ぜひボールの動きにも注目してみてください。

「なぜ今のボールは伸びたのか」
「なぜ急に落ちたのか」
「風はどんなふうに影響していたのか」

そんな視点が加わると、ピックルボールはもっと面白くなります。


参考URL

USA Pickleball「Equipment Standards Manual」
https://usapickleball.org/docs/rules/USAP-Equipment-Standards-Manual.pdf

USA Pickleball「2026 Official Rulebook」
https://usapickleball.org/docs/rules/USAP-Official-Rulebook.pdf

Tennis Warehouse University「The Physics of Pickleball Aerodynamics and Trajectories」
https://twu.tennis-warehouse.com/learning_center/pickleball/pickleball_aerodynamics.php

arXiv「Pickleball Flight Dynamics」
https://arxiv.org/abs/2409.19000

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