前回の記事では、ピックルボールパドルのGen4(第4世代)やフォームコアについて紹介しました。
Gen4は、フォーム素材をより広く使った新しいタイプのパドルとして注目されています。
では、フォームコアは一部の新商品だけの話なのでしょうか。
それとも、実際にパドル市場でも増えているのでしょうか。
The Dinkは、2021年5月から2026年5月までにUSA Pickleballで承認された4,101本のパドルを分析しています。
そのデータを見ると、フォームコアの存在感がかなり大きくなっていることがわかります。
これまでの主流はハニカムコアだった
ピックルボールパドルでは、長くポリプロピレンのハニカムコアが多く使われてきました。
ハニカムコアとは、蜂の巣のような空洞が並んだ芯材のことです。
軽さを出しやすく、扱いやすい構造として、多くのパドルに採用されてきました。

The Dinkの分析では、2025年1月以前にUSA Pickleballで承認されたパドルの91.5%が、ポリプロピレン・ハニカムコアを使っていました。
一方で、フォームは2%未満でした。
つまり、少し前までの承認パドルでは、ハニカムコアが圧倒的に主流だったことになります。
2025年以降、フォーム構造が増えている
流れが変わり始めたのは、2025年以降です。
The Dinkの分析では、2025年1月以降、フォーム構造は新規承認パドルの28%を占めるようになりました。
それ以前は2%未満だったので、かなり大きな変化です。
さらに2026年5月には、新しく承認されたパドルの70%にフォームが使われていました。
フォームを使った構造は、もう一部の変わり種パドルだけではなく、新しいパドル作りの中で大きな存在になってきています。
フルフォームがハニカムを上回った月もある
2026年3月には、さらに大きな動きがありました。
新規承認パドルの中で、フルフォームパドルがポリプロピレン・ハニカムを初めて上回ったと紹介されています。
割合は、フルフォームが53%、ポリプロピレン・ハニカムが34%です。
長く主流だったハニカムコアに対して、フォームコアが数字の上でも存在感を強めています。
前回の記事で紹介したGen4やフォームコアの流れは、単なる流行語ではなく、実際の承認データにも表れ始めていると言えそうです。
ブランドごとに、フォームへの向き合い方が分かれている
The Dinkの分析では、RonbusやCRBNは2025年1月以降の承認パドルがすべてフォーム系だったと紹介されています。Selkirk、Holbrook、Wilson、Vatic Pro、Gearboxなども、フォームを使ったパドルの割合が高くなっています。
一方で、JOOLAは2025年1月以降に45本の新規承認パドルがありながら、フォームを使ったものはなかったとされています。Franklin Sportsも、同じ期間の28本すべてがポリプロピレンでした。
フォームが増えているのは確かですが、ハニカム構造を重視する大手ブランドもあります。
今のパドル市場は、ひとつの構造に完全にまとまっているというより、ブランドごとに考え方が分かれている段階です。
パドル市場は、開発力も見られる時代へ
ブランドごとに構造の選び方が分かれている背景には、パドル開発そのものが高度になっていることもあります。
Business Insiderは、Selkirkの研究開発施設「Selkirk LABS」を紹介しています。
同施設では、パドルにボールを何度も打ち込んで耐久性を調べる装置、表面の細かさを確認する機器、内部構造を調べるCTスキャナーなどが使われているとされています。
特に印象的なのは、ピックルボールを時速120マイルでパドルに打ち込む耐久テストです。
表面のザラつきや内部の状態を確認しながら、パドルがどのように変化するのかを調べています。
ここから見えてくるのは、最近のパドル市場が単なる「素材の違い」だけでは語れなくなっていることです。
フォームかハニカムか。
厚さは何mmか。
表面のスピン性能はどれくらい続くのか。
内部構造は安定しているのか。
こうした細かい部分まで、メーカー側が検査しながら開発する時代になってきています。
フォームコアの増加は、パドル進化の一部
今回のデータでは、フォームコアの増加が大きなポイントでした。
ただ、それは「フォームかハニカムか」という単純な話だけではありません。
ブランドごとに選ぶ構造が分かれ、さらに開発や検査のレベルも上がっています。
フォームコアの広がりは、その変化の中にあるひとつの流れです。
以前のパドル選びでは、重さ、価格、ブランド名、デザインが注目されることが多かったかもしれません。
今はそこに、コア素材、厚み、表面加工、耐久性、スピン性能の持続性といった視点も加わっています。
パドルは見た目だけでは違いがわかりにくい道具です。
だからこそ、これからは「中がどう作られているか」も、パドル市場を見るうえで大切なポイントになっていきそうです。
参考
The Dink:「The Pickleball Paddle Boom Isn’t Over, but It Is Evolving」
https://www.thedinkpickleball.com/the-pickleball-paddle-boom-isnt-over-but-it-is-evolving/
前回の記事:「ピックルボールパドルのGen4(第4世代)とは?フォームコアで変わる最新パドル事情」
https://play-pickleball.jp/?p=3859
Business Insider:「Inside Selkirk’s high-tech pickleball lab, where they use a ‘performance cannon’ and ‘Thor’s hammer’ to make top-of-the-line paddles」
https://www.businessinsider.com/selkirk-pickleball-paddles-idaho-sports-lab-durability-cannon-2026-1
