はじめに:マナーがあるから楽しめるスポーツ
ピックルボールは、アメリカで生まれ、いまや世界中に広がっているラケットスポーツです。日本でもここ数年で一気に注目を集めています。
「誰でもすぐに楽しめる」ことが魅力ですが、その裏にはルール以上に大事な マナー(エチケット)やスポーツマンシップ が存在します。
実はピックルボールの国際的なマナーは、USA Pickleball(アメリカの公式協会)や国際ピックルボール連盟(IPF)、そして日本ピックルボール協会(JPA)でも紹介されています。この記事では、世界共通のマナーをご紹介します。
😊 国際的に共通するピックルボールのマナー
1. ゲームのはじまりと終わりは、あいさつから
ピックルボールは“社交的なスポーツ”と言われますが、その土台になっているのがシンプルな「あいさつ」。
ゲーム前に「よろしくお願いします!」、ゲーム後に「ありがとうございました!」と声をかけるだけで、コートの雰囲気がぐっとやわらぎます。
言ってみれば当たり前のこと。でも、これがあるだけで気持ちよくゲームが始まり、終わったときも「また一緒にやりたいな」という空気が残ります。
USA Pickleballの公式ガイドにも「試合後にはネット越しに礼を交わし、審判や運営にも感謝を伝えること」と明記されていて、国際的にも共通の習慣になっています【USAピックルボールスポーツマンシップガイド: usapickleball.org】。
小さな一言が、プレーの楽しさをより大きくしてくれるんですね。
2. ライン判定は“正直に、そして相手に有利に”
ピックルボールはセルフジャッジ(自分たちで判定するスタイル)が多いスポーツ。だからこそ大事なのは「正直さ」です。
- 自分のショットがアウトに見えたら、迷わず「アウト!」と自分でコール。
- 相手のショットがギリギリで「ん?どうだろう…」と迷ったら、相手に有利に「イン」と判定する。
一見すると「相手に得をさせるの?」と思うかもしれませんが、これが実は気持ちよくプレーするコツなんです。
USA Pickleballのガイドにも「判定に迷ったときは、相手に有利な判断を」とはっきり書かれています。【USAピックルボールスポーツマンシップガイド: usapickleball.org】。
当たり前だけど忘れがちなこと。こうした小さな誠実さが、コートの雰囲気をぐっと良くしてくれます。
3. ネットインしたら「ごめんね!」
ネットに当たって相手コートに落ちる、いわゆる“ラッキーショット”。ルール上はもちろん有効ですが、打った本人も「ちょっと運が良かったな」と思う瞬間です。
そんなとき、ただ得点を喜ぶのではなく、軽く「ごめんね!」と一言添える。
それだけで相手も気持ちよく受け止められますし、ゲームの空気もやわらかくなります。
実はこれ、公式ガイドに載っているわけではありません。けれど、多くのプレイヤーの間で自然に広まっているエチケットなんです。
小さな気づかいが、「また一緒にやりたい」と思える雰囲気をつくってくれます。
4. ボールを返すときは“優しくコロコロ”
プレー中、ボールが隣のコートに転がってしまうことってよくありますよね。
そんなときにやってはいけないのが、勢いよく投げ返すこと。思わぬ事故になったり、相手を驚かせてしまうかもしれません。
代わりに、目を合わせて「返しますね」という気持ちを伝えながら、コロコロと優しく転がして返す。
それだけで相手も安心しますし、コート全体の空気も落ち着きます。
実際に、Paddletek社の「ピックルボール・エチケット19カ条」にも「ボールは落ち着いて返そう」と書かれています【Paddletek: Pickleball Etiquette】。
ちょっとしたことですが、こういう配慮が“また一緒にやりたいプレイヤー”につながります。
5. ナイスプレーもミスも「パドルタップ」で共有
ラリーの合間やゲームが終わったあとに、パドルを軽く「コツン」と合わせる。
ほんの小さな仕草ですが、それだけでお互いに安心感や一体感が生まれます。
- 良いプレーが出たときは「ナイスプレー!」
- ミスが出たときは「ドンマイ!」
言葉と仕草を合わせると、さらに気持ちが伝わります。
大げさじゃない、ちょっとしたやり取りがプレーをより楽しくしてくれるんです。
6. コートを横切るときは“タイミングを待つ”
プレーしていると、別のコートに行きたいときや、ボールを取りに行きたいときがありますよね。
でも隣でラリーが続いているときにコート裏をサッと横切ってしまうと、相手の集中を切らしたり、思わぬ接触の危険も。
だから大切なのは タイミングを待つこと。
- 隣のコートがプレー中なら、ラリーが切れるまで待つ。
- 自分の方にボールが転がってきたら、「ボール!」と声をかけて安全に止める。
The Picklrの記事でも「ポイント中にコートを横切らないように」と注意がされています【ThePicklr: Pickleball Etiquette】。
ほんの少しの待つ気持ちが、みんなにとって安全で快適なプレーにつながります。
7. 初心者や子どもには“やさしい配球”
ピックルボールは年齢も経験も関係なく、みんなで楽しめるのが魅力のスポーツ。
だからこそ、経験差のある仲間とプレーするときにはちょっとした思いやりが大切です。
強烈なショットを続けるのではなく、ときにはやさしいボールを混ぜてあげる。
それだけで初心者や子どもも「楽しい!」と感じられて、もっとこのスポーツが好きになります。
PPAツアーのブログでも「初心者にも楽しめる配球を」と紹介されています【PPA Tour Blog: Correct Pickleball Etiquette】。
ちょっとした気配りが、コートを“みんなが笑顔になれる場所”にしてくれるんです。
JPA推奨ピックルボールマナー9箇条
日本ピックルボール協会(JPA)も「推奨ピックルボールマナー9箇条」を公開しています。
内容そのものは国際的なマナーと大きく重なりますが、日本らしく あいさつや言葉づかいの丁寧さ がより強調されているのが特徴です。
具体的には、
- 試合の最初と最後にきちんとあいさつ
- セルフジャッジは清く公平に
- 良いプレーは笑顔で称える
といった項目が挙げられています。【JPA公式: japanpickleball.org/manner】。
✨ピックルボールをもっと楽しくする“心づかい”
ピックルボールのマナーは、国が違っても大切にしていることは同じです。
キーワードは 「思いやり」「正直さ」「安全への配慮」。
アメリカの公式ガイドも、日本のJPA推奨マナーも、この点ではしっかり重なっています。
日本ならではの文化といえば「礼に始まり、礼に終わる」。
その習慣が、国際的なピックルボールのマナーと自然に響き合っているのは面白いところです。
これから始める人にとっては、ルールよりも先にこうしたマナーを知っておくと安心。
「挨拶をする」「迷った判定は相手に有利に」「ボールはやさしく返す」――そんな小さな心づかいがあれば、初心者でもすぐにコートに溶け込めます。
ピックルボールは点を取ることだけが目的ではありません。
みんなが気持ちよくプレーできる“やさしい空間”をつくることも、このスポーツの魅力です。